2008 Fiscal Year Annual Research Report
ノロウイルス不活化マーカーの検索と食品衛生現場への応用
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20790433
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
白土 東子 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第二部, 主任研究官 (60356243)
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Keywords | ノロウイルス |
Research Abstract |
1)血液型抗原の発現は、組織だけでなく、細胞種よっても異なる。小腸においては陰窩における発現は弱く、絨毛先端においては強く発現されているといわれているが、詳細は明らかでない。一方、ノロウイルス(NoV)は下痢症発症の際、腸絨毛に強くダメージを与えることが知られているが、そのメカニズムは明らかになっていない。NoVの組織特異性に血液型抗原が関与するかどうかの検討を行うため、平成20年度はヒト小腸切片を用いた免疫組織化学染色を行い、Lewis抗原の発現分布を解析した。平成21年度にはさらに連続切片上でVLPのBinding assayも行い、その相関性を検討する予定である。 2)血液型抗原は末端の構造によってABO型、Lewis型に区別され、さらに内部のlinkageによってタイプ1、2に区別される。腸管上皮には主にタイプ1抗原が、赤血球上には主にタイプ2抗原が発現しているとされる。研究代表者は、NoVがABO抗原において、A、B、Oエピトープの識別のだけでなく、タイプ1、2構造の識別も行っていることをすでに明らかにしている。今年度は、Lewis抗原においてもタイプ1、2構造の識別が行われているかを明らかにするため、Virus-like particles (VLPs)を用い、Biacoreにより血液型抗原との結合パターンを検討した。その結果、ABO抗原同様にLewis抗原においてもタイプ1、2構造の識別が行われていることが明らかとなった。血液型抗原のタイプ1、2構造を識別することによって、NoVは自らの組織特異性を決定している可能性がある。
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