2010 Fiscal Year Annual Research Report
ノロウイルス不活化マーカーの検索と食品衛生現場への応用
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20790433
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
白土 東子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (60356243)
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Keywords | ノロウイルス |
Research Abstract |
ウイルス性食中毒の主たる原因ウイルス、ノロウイルス(NoV)はヒト小腸に発現する糖鎖抗原の一種、血液型抗原に吸着することで感染を開始することが明らかになっている。しかし、糖鎖がNoV感染において果たす役割は明らかになっていない。本研究はNoV糖鎖認識機構の詳細を明らかにすることを目的とする。平成22年度は糖鎖遺伝子改変細胞を用いた解析およびX線結晶構造解析によって、下記1)-2)の結果を得た。 1)NoVのGII/4遺伝子型株が、他の遺伝子型株に比べ結合できる血液型抗原の種類が多く、またそれぞれの血液型抗原への結合力が強いことを糖鎖遺伝子改変細胞を用いた解析によって明らかにした。GII/4遺伝子型株は、日本も含め世界中で流行している株である。GII/4遺伝子型株の血液型抗原への結合力の強さがこの株の伝播力の強さに結びついている可能性がある。 2)GI/2遺伝子型株キャプシドPドメインとA抗原、B抗原、H抗原、Le^a抗原およびLe^b抗原複合体のX線結晶構造解析を行い、糖鎖認識に寄与するPドメイン上のループ構造を明らかにした。 本研究の波及効果として下記a)-b)が挙げられる。 a)NoVは宿主体内における感染標的細胞が明らかにされていない。本研究における解析結果は、糖鎖発現を指標としたNoV感染標的組織・細胞の同定に繋がるばかりでなく、感染拡大機序の解明と予測に繋がる。 b)NoVに属するウイルスは33の遺伝子型に分類される。各遺伝子型はそれぞれ異なった抗原型に対応しており、極めて多様性を持った集団として存在する。これが、NoV診断を困難にしている最大の要因である。しかし、血液型抗原に結合するというNoV共通の性質を利用することにより、検出、診断方法の確立が可能になる。
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Research Products
(9 results)