Research Abstract |
今回の研究の対象は,富山県内の某製造業事業所における職域集団を対象とした循環器疾患発症調査を目的としたコホートである。本年度は,平成21年度までの健康診断の結果から新規糖尿病発症を確認し,ベースラインの栄養調査の結果と結合し,食事のグリセミックインデックス(GI)・グリセミックロード(GL)値と6年間の糖尿病発症との関連について解析を行った。 1.糖尿病発症の確認 対象者の平成20年,平成21年の健康診断の病歴や血液検査情報を収集し,昨年度に作成した平成15年から19年までの糖尿病発症データベースに,2年分の結果を追加した。対象者3,552名(男2,065名,女1,487名)において,6年間で164名(男133名,女33名)の新規糖尿病発症を確認した。 2.GIと食品摂取の関連の解析(横断研究) 自記式食事歴法質問票(DHQ)の結果から,日本人の食事のGIに寄与する食品群の解析を行った。日本人のGIには精白米が大きく寄与し(男62.2%,女53.7%),次いで,パン類,お菓子類,砂糖類,麺類が各々5-10%程度寄与していた。すなわち,日本人では食事による血糖上昇の半分以上が精白米摂取に由来することが示唆された。 3.GIと糖尿病発症の関連の解析(縦断研究) GI,GLと糖尿病発症の関連を検討した。男性ではGIが高いものほど糖尿病発症リスクは高く,GI5分位第1位に対する第5位の糖尿病発症ハザード比は約2倍と有意に上昇していた。一方,男性のGL,女性のGI,GLについては糖尿病発症と有意な関連は認められなかった。本研究により,日本人男性において,肥満や糖尿病家族歴などの危険因子とは独立して,高GI食が糖尿病発症と関連することが示された。
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