2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵がんリスクの予測に有用な血清マーカーに関する前向き研究
Project/Area Number |
20790450
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
林 櫻松 Aichi Medical University, 医学部, 講師 (50340302)
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Keywords | 膵がん / 血清マーカー / リスク / コホート内症例対照研究 |
Research Abstract |
膵がんは予後がきわめて悪いがんであり、早期発見の血清biomarkerが残念ながら存在していない。本研究は、コホート内症例対照研究という手法を用いて、血清biomarkerと膵がん死亡リスクとの関連を検討するものである。対象は1988-90年に始まった文部科学省大規模コホート研究(JACC Study)の参加者から、ベースライン保存血清のあった者とした。今年度は、現在も追跡が続いているJACC Studyから、2003年末までの膵がん死亡者および血清を確認し、症例と対照の抽出作業を行った。膵がん死亡者1人に対し、コホート参加者から3人を性、年齢、地区でマッチさせていた。一部の対象者について血清Transforming Growth Factor-β1(TGF-β1)、C-reactive Protein(CRP)、H. pyloriの測定を行った。細胞増殖を抑制するTGF-β1は、膵がんの発がんにおいて重要な役割を果たすとされている。我々の先行研究では、血清TGF-β1と膵がん死亡リスクを検討した結果、血清TGF-β1の濃度が最も高い四分の一のグループでは膵がん死亡リスクは約2倍に上昇していた。さらに追跡期間の延長によって症例を蓄積し、両者の関連を検討する予定である。症例47人と対照125人についてanti H. pylozi抗体を測定した。症例群ではH. pyloriの陽性率が63.8%であったのに対し、対照群では77.6%であった。慢性炎症のマーカーであるCRPは、症例22人と対照74人について測定した結果、症例のほうが高かった。来年度は、さらに血清を整理し、ベースラインの血清マーカーと膵がん死亡リスクの関連をConditional Logistic Modelにより検討する予定である。
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