2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者を対象とした運動と栄養の複合的地域介入プログラムの効果に関する追跡研究
Project/Area Number |
20790454
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
吉田 祐子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30321871)
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Keywords | 地域高齢者 / 運動習慣 / 食生活習慣 / 追跡研究 / 地域介入 |
Research Abstract |
本研究の対象地域では、2002年から2003年にかけて運動と食習慣の改善のための地域介入プログラムが実施されている。介入プログラムは、健康教室や老人クラブ活動で高齢期における運動の重要性や適切な食生活についての講話や実技、広報への記事の掲載、パンフレットの配布等を通し行われた。介入プログラムが運動・食習慣の推移や生活機能に及ぼす影響について検討する目的で、2008年に追跡調査を実施した(N=891、平均年齢79.0±5.7歳、追跡率=67.1%)。 散歩や軽い体操習慣、運動習慣、食品摂取状況について2002年と2008年の値を比較したところ、散歩や軽い体操の実施者の割合に差はなかったが、運動の実施者の割合は追跡時に有意に増加していた。10品目の食品摂取頻度については、肉類、いも類、果物類、油脂類は追跡時に有意に増加し、卵、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類は不変であり、魚介類、牛乳は有意に低下していた。次いで、介入期間終了後(2003年)における介入プログラムの認識(知っている/知らない)と、散歩体操を含む運動習慣、10品目の食品摂取多様性得点、高次生活機能との関連について検討した。その結果、プログラムを知っている者は、追跡時に運動を継続している割合が多かった。プログラムの認識と食品摂取多様性得点の推移に関連は認められなかった。また、プログラムを知っている者では生活機能が低下する割合が少なかった。 本研究における介入プログラムを知っている者は、運動習慣が継続しやすく、生活機能が維持されやすいことが示された。このことから、本研究の介入プログラムは、運動習慣の継続や生活機能の維持に寄与する可能性が示唆された。しかしながら、本研究は長期的な追跡研究のため虚弱な対象者の選択的脱落が生じている可能性が考えられる。今後はこの点を含め介入効果について継続して検討をする必要がある。
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