2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域在宅高齢者の栄養・食事摂取や食事パターンが高次生活機能低下に及ぼす影響
Project/Area Number |
20790457
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
坪田 恵 (宇津木 恵) National Institute of Health and Nutrition, 栄養疫学プログラム, 研究員 (20419998)
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Keywords | 疫学・栄養疫学 / 老人保健 / 公衆衛生 / 予防医学 |
Research Abstract |
本研究は、地域在住高齢者における初期の機能低下(「高次生活機能低下」)を予防することが将来のADL(日常生活動作)の低下を予防することから、「地域在住高齢者における日本独自の食事・栄養摂取および食事パターンが8年後の高次生活機能低下に及ぼす影響」について明らかにすることを目的として検討を行った。 対象は、1986年より岩手県花巻市(旧 大迫町)において実施されている大規模コホート「大迫研究」のうちベースライン時60歳以上で著しい機能低下、高次生活機能低下を示していない地域在住高齢者である。本研究の検討には、141項目からなる詳細な食事調査データを用い、"1.栄養・食品摂取と高次生活機能低下との関連""2.食事パターンと高次生活機能低下との関連"を明らかにした。 1.栄養・食品摂取と高次生活機能低下との関連 まず個々の栄養素・食品と8年後の高次生活機能低下との関連をみたところ、タンパク質、魚類由来のn-3系脂肪酸、ビタミンB2、キノコ類、海草類の摂取が、高次生活機能低下と関連していることが明らかとなった。この結果は先行研究で報告されている種々の高次生活機能低下の危険因子を調整した後も、キノコ類の摂取を除き有意な関連が認められた。 2.食事パターンと高次生活機能低下との関連 次に食品摂取に対する文化的背景や特性を考慮に入れた食事の相加・相乗効果や相互の役割を含めた検討を目的として、食事パターンでの検討を行った。その結果、3つの食事パターンが明らかとなった ; バランス食、乳製品食、少食。その結果、少食群において、有意に8年後の高次生活機能低下と関連しており、その関連は、種々の交絡因子を調整した後も強固であった。 本研究の結果の一部は、海外招待講演で紹介した。今年度はこれらの報告準備とともに、下位尺度「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」での検討、それぞれの食事パターンにおける特徴についてより詳細な分析を進める。
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