2008 Fiscal Year Annual Research Report
2次元電気泳動法を活用した窒息の法医病理診断法の開発
Project/Area Number |
20790461
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池松 和哉 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
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Keywords | 蛍光2次元電気泳動法 / マウス小脳 / 頚部圧迫 / 窒息 |
Research Abstract |
我々は、現在までに分子生物学的手法を駆使して機械的な頚部圧迫時の脳においてc-fos、Tumor Stimulating Colony 22 domain 3等の遺伝子の発現が生じていることを確認している。しかし、組織学的検討やDot blot法等を用いた蛋白質の量的検討では、窒息モデルとコントロール群において有意な差異を確認することはできず、窒息時には、数多くの遺伝子発現量の増減が生じているものの、直接的に蛋白質発現量に反映されていない可能性があると考えられる。さらに、法医剖検例ではある程度の死後経過時間をどうしても伴うため、遺伝子(mRNA)を検討対象にすることはその物理学的および生化学的脆弱性から実際的ではなく、検討対象を遺伝子産物(蛋白質)とした方がより実務的である。つまり、法医実務的には、窒息(低酸素)時の生体における反応では遺伝子発現を検討するよりも、より直接的に「窒息特異的な蛋白質の発現」を捉えることが肝要であると考えられる。本研究では、蛍光2次元電気泳動法を用いて頚部圧迫時のマウス小脳の蛋白質発現動態について検討した。具体的には、麻酔下マウスに30分のHanging処置を施した後に窒息死させ、死亡直後(H-0群)、死亡60分後(H-60群)の小脳を採取した。また、Decapitation処置を行ったマウスの死亡直後(C-0群)、死亡60分後(C-60群)をControlとして用いた。各試料を洗浄・蛍光ラベリング後、2次元電気泳動し、画像解析を行った。その結果、それぞれ群にて約100個程度のスポットが認められた。C-0群のスポットをReferenceとした。Spot38と39の比、Spot52と53の比はH-0、60群で増加していた。H-60群のSpot96、99は有意に増加していた。今後、これらSpotの蛋白質を同定し、法医剖検例に応用したい。
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