2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞傷害マーカー・テネイシンC(TN-C)による急性心臓死の病理診断
Project/Area Number |
20790462
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大津 由紀 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 技術専門職員 (90404342)
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Keywords | テネイシンC(TN-C) / 急性心臓死 / 細胞傷害マーカー / 法医病理学 |
Research Abstract |
今年度は予備実験として、死体血清中テネイシンC(TN-C)濃度の測定と心筋組織からのTN-CのmRNAの検出を試みた。 1. ELISAによる血清中テネイシンC(TN-C)濃度の測定 死後経過時間48時間以内の法医解剖事例(内因死9例、外因死4例)の心臓血および末梢血(大腿静脈血)血清中のTN-C濃度をELISA法で測定し、それら測定値と死因、死後経過時間、受傷(発症)から死亡までの時間などとの関連について検討した。 これまでに死体血におけるTN-C濃度測定を行った報告は無く、健常人血清中のTN-C濃度は23.4〜74.8ng/mlと報告されている。今回測定した13事例の血清中TN-C濃度は心臓血で26〜1, 635ng/ml(n=13)、末梢血で114〜960ng/ml(n=4)であり、何れも健常人血清中より高値を示す症例が多かった。なお、心臓血と末梢血を比較すると末梢血がやや低い値を示した。 血清中TN-C濃度に大きな影響を与えると考えられる死因および受傷(発症)から死亡までの時間については、特徴的な傾向を見いだすことができなかったが、縊死および溺水などの死亡までの時間が短時間の事例では他の事例に比べて低値を示した。但し、何れの事例も健常人血清中よりも高値であり、何らかの死後変化の影響が考えられた。 今後、さらに症例を増やして統計的に解析を行う必要がある。 2. 心筋組織のRT-PCRを用いたTN-CのmRNAの検出 現有のホモジナイザーを用いてホルマリン固定前の心筋組織からmRNAの抽出を試みたが、mRNAが非常に壊れやすいため困難であった。そこで、新規に三次元ビーズ衝撃式細胞試料粉砕装置を購入した。現在、その条件設定と試料収集を行っている。
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