2010 Fiscal Year Annual Research Report
覚せい剤誘導性ドパミン増加に対するエタノールの作用とアルコール嗜好性の関与
Project/Area Number |
20790467
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
内海 美紀 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50351797)
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Keywords | メタンフェタミン / アルコール嗜好性 / 線条体 |
Research Abstract |
乱用薬物の強化作用にとって重要な神経回路となっている黒質-線条体系ドパミン(DA)神経系を中心に、メタンフェタミン(MAP)によって引き起こされるDA神経細胞の変化と、それに関与すると考えられるアルコール嗜好性の遺伝的相違について検討した。 前年度はアルコール嗜好性の異なる2系統ラットに対して、(1)MAP投与前の基底状態で線条体内のDopamine Transporter (DAT)のm-RNA発現量の系統差について、(2)MAP投与後(10mg/kg腹腔内投与から24時間後)の線条体内DATのm-RNA発現量の系統差について検討した。その結果、基底状態のDAT量に系統差は確認されなかった((1)が、MAP投与後については、ばらつきが大きく、再現性の高い結果を得ることができなかった((2))。そこで今年度は線条体内DATのm-RNA発現量についてさらに精査するため以下の追実験を行った。それは(1)受容体関連のm-RNAは薬物投与から比較的短時間で誘導・発現することから、採取時間を増やし薬物投与から3、6、24時間後に線条体を採取した後、m-RNA量を測定した。(2)DAの授受に関与するD1およびD2受容体についても両系統間でm-RNA発現量に差が生じていないか確認した。 その結果、両系統ともに「m-RNA発現量は薬物投与から3時間後が最も高く、その後徐々に減少し、24時間後に最も低い値となった。しかし24時間後の減少率はアルコール嗜好性の高いラットで大きかった」という結果を得た。これは放出されたDAが再取込みされず、神経伝達が高まりup-regulateする可能性を示唆している((1))。一方D1、D2受容体に関しては、両系統で差はなく同様の推移を示した((2))。これらの結果をもとに、今後は次の発現段階であるタンパク質発現に関して検討し、DATや受容体の密度差あるいは機能差について精査したいと考えている。
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