2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬毒物に起因する横紋筋融解症の新規マーカー遺伝子の同定及び遺伝子診断法の確立
Project/Area Number |
20790468
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松末 綾 Fukuoka University, 医学部, 助教 (70309920)
|
Keywords | 横紋筋融解症 / 薬毒物 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
法医解剖症例の中から、覚せい剤が検出された18剖検例について、骨格筋のホルマリン固定パラフィン包埋サンプルからGeneChip解析が可能か否かを検討したが、ホルマリン固定時間が長かったことから、RNAが高度に分解しており、GeneChip解析は実施できなかった。 覚せい剤が検出された18剖検例について、腎臓を試料として、HE染色、抗ミオグロビン(Mb)抗体、抗8-hydroxy-2^'-deoxy guanosine(8-OH-dG)抗体による免疫組織化学的染色を行った。Mbと8-OH-dGが両方とも陽性となった症例のうち、死因や死亡前の推定される病態から、外傷性の筋組織の傷害や、Methamphetamine、Mb以外に酸化障害を来たす可能性がある症例を除外した。その結果、横紋筋融解症疑い例は18剖検例中6例と考えられた。 覚せい剤が検出された18剖検例及び健常人10例からDNAを抽出し、RYR1遺伝子のhot spot領域、CPT II遺伝子、VLCAD遺伝子、CYP2D6遺伝子について、ダイレクトシークエンス法で変異を探索した。覚せい剤が検出された18剖検例について、遺伝子検査の結果、RYR1遺伝子にアミノ酸置換を伴う変異が認められたのは2例であった、CPT II遺伝子は、酵素活性に関係しない変異が多くの剖検例で認められた、また、1例において、これまでに報告のない新規の変異が認められた。VLCAD遺伝子では、酵素活性に関係しない変異が6例に認められた他は、アミノ酸置換を伴う変異は認められなかった。CYP2D6遺伝弄では、活性の低いCYP2D6^*10のホモ接合体が18剖検例中3例、未報告の変異が2例に認められた。RYR1遺伝子に認められたアミノ酸置換を伴う変異とCPT II遺伝子に認められた新規の変異は、今回調査した健常人には認められなかった。
|
Research Products
(3 results)