2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790476
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
池島 信江 (獅子王 信江) Osaka City University, 大学院・医学研究科, 博士研究員 (50420401)
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Keywords | ストレス科学 / 疲労 / 下垂体ホルモン / 分子生物学 / 免疫 |
Research Abstract |
疲労状態を客観的に定量化することは未だに確立されていない。本研究では、疲労モデル動物から得られた分子メカニズムを手がかりに、過労のバイオマーカーの探索を行った。水の張ったケージで飼育することでラットに疲労負荷をかけるモデルを用いた。このモデルでは、疲労負荷後、通常ケージに戻して飼育することで身体能力などにおいて回復が見られている。疲労負荷をかけたラットの脳下垂体中間葉において分泌亢進像が観察された知見をもとに、中間葉から分泌される下垂体ホルモンα-Melanocyte stimulating hormone(以下、α-MSH)およびβ-endorphinの末梢血中における濃度を測定し、通常時および疲労時における濃度変化を検討した。疲労負荷3日目、5日目においてα-MSHおよびβ-endorphinの濃度上昇を確認し、これらは回復時にはコントロール値までに戻ることも確認できた。さらに、これらホルモンの上昇は、食事制限による体重減少では伴わないため、疲労負荷によるものであると考えられた。また、疲労負荷時にドーパミンアンタゴニストを投与するとこれらホルモンの濃度上昇が抑制され、これら二つのホルモンは疲労負荷時に下垂体より分泌されていることが示唆された。つぎに、α-MSHおよびβ-endorphinの抗炎症性作用に注目し、疲労時に見られる免疫力の低下について検討を行った。疲労負荷時および回復期にLPSを腹腔内投与し、炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α)、抗炎症性サイトカイン(IL-10)および一酸化窒素の産生能の変化を調べた。IL-6およびTNF-αのLPS応答性は、疲労負荷により抑制され、逆に回復期に過剰応答を示していた。また、回復期において一酸化窒素が通常よりも著しく産生されることがわかった。
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Research Products
(7 results)