2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疲労症候群の漢方治療における中枢神経系の再生機構
Project/Area Number |
20790479
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
守屋 純二 Kanazawa Medical University, 医学部, 助教 (70460368)
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Keywords | 漢方 / 慢性疲労症候群 / 中枢神経 / 再生機構 |
Research Abstract |
Brucella Abortusの2週間間隔で6回反復投与(0.2ml/回)を行いCFSのマウスモテルを作成した。本モデルにより、CFSの病因、病態の解明及び漢方有効性を確認する目的で漢方薬(抑肝散)を投与した。海馬における神経の新生を免疫染色で確認、また同時に、MRIを用いて同部の形態的変化を観察した。さらに、抑肝散を投与し中枢神経系の各種サイトカインをPCRを行い変化を観察した。 BDNFと受容体の発現メカニズムを探るため、BDNF、その受容体、BDNFの転写因子pakIIIの発現局在を脳、内臓臓器で測定し、そしてBDNF蛋白、遺伝子発現および受容体のメカニズムを推定する手段として解析した。Brucella Abortus誘発CFSモデルにて、脳内BDNFと受容体がどう発現し制御を受けるかを解析し、漢方投与で脳障害が軽減されるかを検討した。 結果として、CFSモデル群では免疫染色、MRIにて海馬のアポトーシス亢進による委縮が確認され、治療群において海馬でのアポトーシスを抑制し、神経再生を促したことが確認された。過去の研究では海馬機能障害が、CFSの主な症状である神経衰弱の疲労、睡眠障害および異常認知に関連していることが報告されており、臨床的な効果は不明であるが今後治療として効果が期待できると考えられた。 本年度は同モデルを再度作成、更に病態の解析を進めると同時に、類似の症状や中枢神経系の変化があるとされる鬱病のマウスモデルとの比較を行い、中枢神経系のサイトカインや海馬の形態的な変化、遺伝子発現などについての検討を行う。これにより臨床的にも類似する症状を認めることがあるCFSと鬱病との区別を明確にする事を目的とする。さらに薬物治療においても依然確立していないCFSの治療に対し再検討を行っており、上記の内容の結果を報告する。
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