2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790481
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
遠藤 真理 Kitasato University, 東洋医学総合研究所, 研究員 (60296829)
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Keywords | 内科学一般 / 東洋医学 / 潰瘍性大腸炎 / 漢方薬 |
Research Abstract |
漢方薬は潰瘍性大腸炎を含む慢性の炎症性疾患に広く用いられているが、漢方薬の炎症性腸疾患に対する有効性を実験的に検討した報告は少ない。これまでに、黄連解毒湯がデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウス大腸炎を抑制することが報告されているが、その他の漢方処方でもこのモデルで有効性を示すのかどうかは明らかではない。また、黄連解毒湯を構成する生薬である黄苓がDSS誘発マウス大腸炎を抑制することが報告されているが、一味抜き処方における検討はなく、漢方薬の構成生薬のうち一生薬のみが効果を担っているのかどうかははっきりとしていない。 そこで、本研究では、まず、黄連解毒湯を含む15種類の漢方薬の潰瘍性大腸炎に対する抗炎症作用をDSS誘発マウス大腸炎でスクリーニングした。さらに、どの生薬が有効か検討するため、有効処方において、特定の構成生薬を除いても効果を保つかどうかを検討した。 その結果、黄連解毒湯はDSS誘発マウス大腸炎に対して、サラゾピリンと同程度に有効性を示すことを確認した。さらに、今回新たに柴苓湯のDSS誘発マウス大腸炎への有効性を明らかにした。 加えて、黄連解毒湯のDSS誘発マウス大腸炎への効果が黄苓一味抜き処方で消失し、黄苓単味と同じ結果が得られたが、柴苓湯では柴胡を中心とした黄苓以外の構成生薬または、生薬同士の組み合わせがDSS誘発マウス大腸炎への抗炎症作用に働いている可能性が示唆された。 以上のことから、漢方薬の潰瘍性大腸炎に対する有効性は、一律に黄などの単一生薬のみの作用だけではなく、各漢方薬の構成生薬同士の組み合わせが重要である可能性が考えられた。
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