2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790481
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
遠藤 真理 Kitasato University, 東洋医学総合研究所, 研究員 (60296829)
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Keywords | 内科学一般 / 東洋医学 / 潰瘍性大腸炎 / 漢方薬 |
Research Abstract |
漢方薬は潰瘍性大腸炎(UC)を含む慢性の炎症性疾患に広く用いられている。黄連解毒湯とその構成生薬である黄苓がデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウス大腸炎を抑制することが報告されているが、その他の処方でもこのモデルで有効性を示すのかは明らかではない。また、黄苓などの特定生薬を除いたいわゆる一味抜き処方での検討も報告されていない。 そこで、このモデルにおいて13種類の漢方処方の抗炎症活性を検討したところ、臨床的にUCにも応用される柴苓湯でも腸管の短縮・MPO活性・体重減少の有意な抑制を認めた。柴苓湯を構成する小柴胡湯と五苓散の各処方では抗炎症活性を示さず、柴苓湯の有効性は2処方を合方することで発揮される可能性が示唆された。柴苓湯から基本骨格となる生薬を除いても有効性を保つか否か検討すると、黄苓の一味抜き処方で黄連解毒湯とは異なり抗炎症活性を示した。その一方で、柴胡の一味抜き処方では抗炎症活性が消失した。 以上の検討結果から、DSS誘発マウス大腸炎モデルにおける柴苓湯の有効性が明らかとなった。またこのモデルにおける柴苓湯の抗炎症作用には、柴胡を中心とする生薬の組み合わせが重要である可能性が考えられた。
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