2008 Fiscal Year Annual Research Report
食道内腔で発生する高濃度一酸化窒素によるバレット食道・腺癌発生の検討
Project/Area Number |
20790484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅沼 清孝 Tohoku University, 病院, 医員 (10431553)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / バレット食道 / バレット腺癌 / 食道・胃接合部 |
Research Abstract |
【目的】本研究は食道・胃接合部(EG junction)で発生する高濃度一酸化窒素(NO)と同部位に発生するバレット食道・腺癌との関係についてラット動物モデルを用いて検討することを目的とした。【方法】Wistar ratを用いた慢性逆流性食道炎モデル(Tao Zhang, et.al : Dig. Dis. Sci 2006)に生理的範囲内の亜硝酸塩(10 mM)とアスコルビン酸(1%)を8週間投与し、ヒトと同様にEG junctionでNOを発生させた。食道を摘出し組織学的変化から肉眼的・顕微鏡学的に食道炎の程度・面積を評価し更にバレット食道発生率をコントロール群と比較した。また、Muc2、Muc5AC、Muc6の胃または腸型粘液形質とCdx2の免疫染色を施行した。【結果】8週間後の本モデルのおける逆流性食道炎の粘膜傷害部位は粘膜の白濁・潰瘍形成として肉眼的に確認することができたが、バレット上皮の肉眼的な同定は困難であった。硝酸塩投与群における傷害面積、並びに傷害の程度はコントロール群と比較し優位差を認めなかった。また、顕微鏡学的に炎症細胞浸潤の程度を評価したが両郡で明らかな有意差を認めなかったが、両郡においてバレット食道を顕微鏡学的に同定することができた。バレット食道はMuc2, Muc6, Muc5AC, Cdx2が陽性であり、その染色性においてコントロール群と比較しあきらかな差を認めなったが、バレット食道発生率は亜硝酸塩投与群において優位に上昇を認めた(42%vs. 11%, P>0.05 : n=20)。【結語】食道内腔で発生するNOがバレット食道発生に促進的に働くことを示した。ヒトにおいて食道胃接合部は生涯にわたって高濃度のNOに暴露されることから、同内腔で現局性に発生するNOがバレット食道発生、更に発ガンに関係する可能性を示唆する結果とであった。
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