2009 Fiscal Year Annual Research Report
SDF-1の血管再構築能向上作用に基づく肝幹細胞からの効率のよい肝再生を目指して
Project/Area Number |
20790488
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土屋 淳紀 Niigata University, 医歯学総合病院, 医員 (70464005)
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Keywords | SDF-1 / 肝再生 / 肝幹前駆細胞 / CXCR4 / マウス / ALT / Mxマウス / VEGF |
Research Abstract |
SDF-1 (stromal cell derived factor-1)は造血系、心臓などで発生、分化などに重要な働きをすることがわかっており、また肝臓では胆管や肝幹前駆細胞に発現することは知られていたがその役割に関して現在に至るまで解明されていなかった。 今回我々は、SDF-1のレセプターであるCXCR4のconditional knock out (KO)マウスであるMxCre-CXCR4 f/-マウスを用い、生後にCXCR4遺伝子をKOしかつ慢性肝障害を起こした時に肝再生にどのような変化が起きるのかをコントロールマウスとしてMxCre-CXCR4f/+マウスを用いて解析を行いった。 KO群(MxCre-CXCR4f/-マウス)では非KO群に比し、肝酵素であるALT値が有意に上昇し、障害ををより受けやすい状態であることが確認された。さらに、KO群では胆管や肝幹前駆細胞マーカーであるanti-cytokeratin抗体を用いた検索にて多くの胆管、肝幹前駆細胞を認めたにも関わらず、肝臓の機能改善や肝の大きさの維持等再生に結びつくよい結果は得られなかった。つまり、KO群では有効な再生が行われておらず、再生に対し負の方向に作用していた。 我々の検索では、CXCR4陽性細胞は複数にわたり、何が最も肝再生に重要であるのかは判明していないが今後細胞ごとのCXCR4 KOマウス解析にて肝再生システムの解明につながることが予想される。 マイクロアレイによる解析では、KO群ではFGF2やVEGFなど血管新生に必要な増殖因子の低下がみられており血管新生遅延による側面も一因と考えられる。 今後、さらに実験を進めることにより、肝再生促進にSDF-1投与やもしくはSDF-1分解物質であるDPPIVの抑制薬の使用等により肝再生を促す等の新たな治療の開発につながる可能性がある。
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Research Products
(6 results)