2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトを標的としたEGCGによる大腸癌予防の研究
Project/Area Number |
20790490
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
足立 政治 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50467205)
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Keywords | EGCG / 受容体チロシンキナーゼ / 脂質ラフト / p38 MAPK / internalization / EGFR / recycle |
Research Abstract |
目的 EGCG((-)-epigallocatechin-3-gallate)は、様々な癌における受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の異常活性を抑制することが報告されているが、詳細なメカニズムは分かっていない。今までに我々は、細胞膜脂質ラフト(lipid raft)に着目し、EGCGが脂質ラフトの形成を阻害することを見出している(Adachi S et al, Cancer Res 2007)。脂質ラフトはさまざまな膜タンパクと密接に関わっているので、多彩なEGCGの作用機序を説明できるものであり、これがEGCGの標的となりうると考えている。また、これらの研究が日常生活において容易に摂取可能であるEGCGによる大腸癌予防のメカニズムの解明を進めるものであり、最終的には臨床の実践の場での癌予防に結び付けたいと考えている。 本年度の研究実施計画とその成果 EGCGによるEGFR以外の受容体型チロシンキナーゼの局在の変化(internalization)の検討 すでに癌細胞で異常が報告されているEGFR以外の受容体チロシンキナーゼ(特に乳癌におけるHER-2, 胃癌におけるc-Met、肝癌におけるIGF-1R、さらにPDGFR, VEGFRなど)もEGCGによりinternalizationが起きるかを免疫蛍光標識法を用いて検討したが、良好な抗体が得られなかったため成果を得られなかった。 EGCGによるEGFRのinternalizationのメカニズムの分子生物学的検討 EGFR internalizationにp38 MAPKが重要であるという結果を得て論文発表した(Adachi S et al, Cancer Lett, 2009)。さらに現在、EGFRのあるセリン残基のリン酸化が重要であるという結果を得ており論文投稿中である。 EGFとEGCGによるinternalizationの性質の違いを比較検討 EGFRとearly endosome antigen (EEA)などendosome関連蛋白との二重染色、あるいはリン酸化EGFRとの二重染色により、EGFとEGCGによるinternalizationの性質の違いを明確にし、これを論文発表した(Adachi S et al, Carcinogenesis 2008)。
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