2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の脂質合成を促進する新たな転写プログラムの同定と制御機構解明
Project/Area Number |
20790496
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 永勝 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40359914)
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Keywords | 脂質合成 / 遺伝子 / 転写 / マウス / 脂肪肝 / mRNAバリアント / プロモーター |
Research Abstract |
グリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼ(GPAT)は生体内における脂質合成反応の律速酵素である。GPAT遺伝子の発現制御機構の解明は非アルコール性脂肪肝(NAFLD)の発症予防あるいは治療手段の開発に大きく貢献するものと期待される。申請者はこれまで、ミトコンドリア型mtGPAT1に加え、新規に同定したxGPAT1遺伝子の発現プロモーターDNA配列を決定し、両遺伝子の発現プロモーターに共通に結合する転写因子としてSREBP1,USF1を同定した。また、mtGPAT1のプロモーター(1aおよび1b)がそれぞれの転写因子により正に調節されていることを明らかにした。今年度の研究では、SREBP1およびUSF1がxGPAT1遺伝子の発現に与える影響を中心に解析した。xGPAT1にも2つの発現プロモーター領域(1aおよび1b)が同定されているが、解析の結果、1bプロモーターがSREBP1およびUSF1によって正に調節されていることが明らかとなった。マウス肝臓において、1bプロモーターに調節されるxGPAT1-v2バリアントのmRNA発現は絶食により低下し、摂食後に増加したことから、1bプロモーターの活性は生体の栄養状態によって制御されていることがわかった。一方、NAFLDモデルマウスにおいて、1aプロモーターに調節されるxGPAT1-v1バリアントのmRNA発現が上昇していた。この上昇はSREBP1やUSF1の発現量や核内レベルとは相関せず、両因子非依存的なものであると考えられた。本研究の結論として、mtGPAT1とxGPAT1のmRNAバリアントの中には、摂食により発現が亢進するものやNAFLD特異的に発現が亢進するものがあり、摂食(量や回数)の増加がSREBP1/USF1依存的あるいは非依存的に肝臓のGPAT発現を活性化して脂肪蓄積を引き起こす可能性が示唆された。
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