2008 Fiscal Year Annual Research Report
miRNAによる遺伝子発現抑制能を付加したp53アデノウイルスによる癌治療の開発
Project/Area Number |
20790501
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
井戸川 雅史 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (00404749)
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Keywords | 遺伝子治療 / p53 / miRNA / p21 / アデノウイルスベクター / 癌 / アポトーシス / 治療抵抗性 |
Research Abstract |
すべての癌の約半数にp53の異常が報告されており, そのような癌においてはp53の導入による遺伝子治療が有効であると考えられるが, 必ずしも著効するとは限らず更なる工夫が必要である. p53によって発現誘導される標的遺伝子の中に, そのアポトーシス効果に対して阻害的に働くものがある. そこで, そのような標的遺伝子のひとつであるp21を特異的に発現抑制する人工miRNAを設計し, 発現プラスミドベクターに組み込んだ. このベクターをp53発現ベクターと共にHEK293細胞にトランスフェクションしたところ, p53が強発現しているにもかかわらずp21の蛋白発現誘導の抑制が認められた. 次に, p53発現ベクターとp21抑制miRNA発現ベクターをひとつにハイブリッドしたベクターを作成した. この単一ベクターをHEK293細胞や大腸癌細胞にトランスフェクションしたところ, p53は強発現する一方, p21の発現誘導は抑制された. 更に, このプラスミドベクターを元にアデノウイルスベクターを作成した. p53とp21抑制miRNAの共発現アデノウイルスベクターを大腸癌細胞DLD1および肝癌細胞HLF, Hep3Bに感染させ, フローサイトメトリーにてDNA量を測定したところ, p53単独発現のベクターと比較して有意にアポトーシスを示すsubG1の増加を認めた. また, 大腸癌細胞SW480では, アドリアマイシンを併用することにより, p53単独と比較してp53/p21抑制miRNA共発現ベクターで強くアポトーシスが誘導された. 以上の結果から, p53とp21抑制miRNAの共発現ベクターが強いアポトーシス誘導効果を持ち, このベクターを用いることで癌治療効果の増強, 治療抵抗性の改善が期待される.
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Research Products
(6 results)