2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロソ化及びリン酸化RKIPによる胃癌細胞増殖シグナルの制御に関する研究
Project/Area Number |
20790505
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
大竹 一男 Josai University, 薬学部, 助教 (50337482)
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Keywords | 一酸化窒素 / 細胞増殖 / ニトロソ化 / RKIP / 翻訳後修飾 / リン酸化 / Raf / ERK |
Research Abstract |
Raf kinase inhibitor protein(RKIP)はRaf-1と結合しRaf-1/MEK/ERK経路を抑制しているが、ProteinkinaseC(PKC)によってRKIPがリン酸化修飾を受けるとRaf-1/MEK/ERK経路が活性化されることが示されている。一方、ROSの一種であるH2O2やHelicobacterpylori(感染によって増加するNO)を胃細胞に暴露すると、ERKシグナルが活性化することも報告されている。本研究ではS-ニトロソ化RKIPがRaf-1/MEK/ERK経路にどのような影響を及ぼすかを検討した。ヒト胃細胞AGS細胞を20時間血清飢餓状態にし、Phorbol 12-Myrstate 13-Acetate(PMA)及びGSNOどちらかもしくは両方を処理後のRaf-1、MEK、RKIP、リン酸化RKIP(p-RKIP)、ERK、及びリン酸化ERK(p-ERK)をWestern blotting assayにて評価した。また、S-ニトロソ化RKIPはBiotin-Switchassayにて検出した。PMAを処理すると、処理濃度及び処理時間に依存してp-RKIP及びp-ERKが増加した。一方、GSNOを処理すると、処理時間に依存してp-ERKは増加したがp-RKIPは変化せず、さらに、GSNOは処理濃度に依存してS-ニトロソ化RKIPを増加した。また、GSNO及びPMA両方を処理すると、PMAが誘発するp-ERKの増加はGSNO処理濃度に依存して増強したが、PMAが誘発するp-RKIPの増加はGSNO処理濃度に依存して減弱した。また各処理によってRKIP、Raf-1、MEK及びERKは変化しなった。以上の結果から、AGS細胞におけるGSNOによるERKシグナルの活性化の一部は、S-ニトロソ化RKIPによって起こる可能性が示唆された。また、GSNOによるRKIPのS-ニトロソ化修飾は、PKCを介したリン酸化修飾と拮抗する翻訳後修飾であることが推察された。
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