2009 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βシグナル伝達とリンパ球分化、胃粘膜免疫応答、発癌メカニズムの関連解析
Project/Area Number |
20790516
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
福井 寿朗 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (60402905)
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Keywords | 癌 / 細菌 / シグナル伝達 / 発生・分化 / 免疫学 |
Research Abstract |
1. Tn細胞からTh17・Treg細胞への分化におけるTGF-βシグナル伝達メカニズムの解析 末梢においてTn細胞からTh17・Treg細胞への分化に必要とされるTGF-βのシグナル伝達メカニズムを解析し、相反する作用を持つこれら二つの細胞がTGF-βという同じサイトカインからの刺激により分化するメカニズムを、特にSmad2/3におけるCOOH末端部、リンカー部のリン酸化部位の差異に着目しつつ検討したが、Smadのリン酸化部位の差が異なる分化経路の分岐点であるという仮説は証明出来なかった。 2. 胃疾患におけるTh17、Treg、TGF-βによる粘膜免疫応答、発癌メカニズムの解析 コントロール群を含め各群のマウスを計画に沿って処置後飼育し、ヘリコバクター短期・長期感染モデルを作製した。(1) C57BL/6マウス(Th1反応優位、ヘリコバクター胃炎強い、発癌あり)を購入し、生後8週にヘリコバクター・フェリスを1×10^8経口接種し、慢性萎縮性化生性胃炎のモデル(感染後3ヶ月まで飼育)、胃癌のモデル(感染後18ヶ月まで飼育)を作製した。(2) 慢性萎縮性化生性胃炎・胃癌のモデルマウスの組織検体にて、部位特異的抗リン酸化Smad2/3抗体を用い、蛍光二重免疫染色を施行した。胃粘膜の炎症・胃底腺の萎縮・胃粘膜の過形成が進行するに従い、Smadのリンカー部がリン酸化されたpSmad2/3L陽性細胞が増加していた。一方完成された胃癌モデルにおいては、pSmad2/3L陽性細胞は正常レベルまで復していた。pSmad2/3L陽性細胞は胃粘膜峡部に存在し、正常マウスではごく少数であったが、慢性胃炎モデルマウスでは、Ki67の免疫染色で示された増殖領域の拡大に伴って著明に増加していた。以上よりヘリコバクター胃炎においては、Smad2/3のリンカー部のリン酸化が促進されることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)