2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗線維化遺伝子修飾血管内皮前駆細胞を用いた肝臓再生療法の開発
Project/Area Number |
20790517
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中村 徹 Kurume University, 医学部, 助教 (30341332)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞(EPC) / 細胞療法 / 肝線維化 / 肝硬変症 / 肝再生 / アデノウイスルベクター / HGF(肝細胞増殖因子) |
Research Abstract |
Wistar系雄性ラットにフェノバルビタール水を1週間自由飲水させたのち、腹腔内に週2回6週間四塩化炭素(CCl_4)を投与し肝硬変症を作製した。あらかじめ正常ラット骨髄由来血管内皮前駆細胞(EPC)を培養・採取しておき、以下の4群に分けて実験を行った。CCl_4投与開始7週目より週1回のペースで1)生食水、2)EPC、3)ヒトHGF(hHGF)プラスミドをアデノウイルスベクターを用いて遺伝子導入したhHGF遺伝子導入EPC、4)コントロールアデノウイルスであるβガラクトシダーゼ遺伝子導入したLacZ遺伝子導入EPC、を各々合計4回尾静脈より投与し、その間もCCl_4は投与し続け、CCl_4投与開始後71日目に屠殺した。線維化の評価としてAzan染色,collagen-I,α-SMA,TGF-βに対する抗体を用いた免疫組織化学および血液生化学的検討を行った。各群間における肝細胞増殖活性の評価として抗Ki67抗体を用いた免疫組織化学で検討した。Azan染色による線維化率はEPC非移植群(生食水群)10.9±1.7%に対し、EPC移植群では5.3±1.0%と有意に低下し、hHGF遺伝子導入EPC移植群ではさらに低値の4.2±1.4%を示し、肝線維化の進展が阻止された。EPC群とLacZ遺伝子導入EPC群間の線維化率に有意差はなかった。免疫組織化学でもcollagen-I,α-SMA,TGF-β、ともにhHGF遺伝子導入EPC移植群で発現は低下していた。Ki67染色による肝細胞陽性率では対照群よりEPC移植群では明らかな肝細胞増殖活性を示した。血液生化学的検査値はEPC移植群で有意な改善を認めたが、hHGF遺伝子導入EPC移植群では、総蛋白、アルブミン値に関してはさらに有意な改善を認めた。
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