2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム医科学的アプローチによる特発性心筋症病態形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
20790520
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
有村 卓朗 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 助教 (50342887)
|
Keywords | 特発性心筋症 / 拡張型心筋症 / 遺伝子変異 / PGM1 / ZASP / Cypher / 心筋Z帯 / 細胞ストレス |
Research Abstract |
特発性心筋症の中でも特に心筋Z帯機能異常によって引き起こされる心筋症病態に着目し、その病態形成メカニズム解明のため、酵母2ハイブリッド法を用いて、これまでに拡張型心筋症(DCM)の原因遺伝子として同定したLDB3遺伝子によってコードされる心筋Z帯構成要素の一つであるZASP/Cypherタンパク内心筋特異的ドメインに結合する新規タンパクのスクリーニングを行い、Phosphoglucomutase1(PGM1)を同定した。さらに、PGM1とZASP/Cypherタンパク間の結合ドメインについて詳細な検討を行い、PGM1のC末端側80アミノ酸はLDB3遺伝子のエクソン4、6および10によってコードされるProline-rich motifやZASP-like motifとの結合を示すことや、それらの結合性はエクソン4および10内に存在するDCM病因変異であるSer189Leu、Thr206IleやIle345Metの存在下において有意に減少することを明らかにした。一方、PGM1の心筋内における機能を明らかにする為に、まず新生児ラット心筋細胞を単離し、その細胞内でGFP-PGM1を発現させて心筋細胞内における局在の検討を行ったところ、通常培養条件下では細胞質内に拡散しているPGM1が低栄養ストレス条件下(無血清培地や無グルコース培地)においては心筋Z帯への局在を示すことが明らかとなった。さらにこれらの低栄養状態依存性の局在変化はPGM1のC末端側ZASP/Cypher結合ドメインのみでも同様に観察された。以上のことから、PGM1は細胞へのストレス条件下においてZASP/Cypherを足場として心筋Z帯への局在を示すが、遺伝子変異によるPGM1-ZASP/Cypher結合の低下がその局在変化に影響を及ぼし、これらのことがDCMの発症に関与することが示唆された。
|
Research Products
(12 results)