2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス心筋虚血再灌流障害および心筋梗塞モデルにおけるケミカルシャペロンの影響
Project/Area Number |
20790521
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡島 正樹 Kanazawa University, 附属病院, 助教 (00361999)
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Keywords | ERストレス / 虚血再灌流 / 心筋梗塞 / シヤペロン |
Research Abstract |
前年度は、心筋虚血再灌流モデルにおいて、ケミカルシャペロンとして知られる4-フェニル酪酸(4-PBA)が小胞体ストレスを軽減し、虚血再灌流後梗塞巣の縮小と心機能保持に寄与することを示した。しかし、実際の臨床の現場では、再灌流が不完全に終わる、あるいはできないケースもしばしば経験する。 よって、平成21年度は、臨床的実用性も見据えて、再灌流されない心筋梗塞モデルについて以下の検討を行った。 すなわち、同様に心筋梗塞モデルにおいても、4-PBAが梗塞巣を縮小するか否か、および心機能保持に寄与するか否かを検討した。さらにそのメカニズムについて組織およびnRNAレベルで検討した。 結果、4-PBAを投与した群では、心筋梗塞後6日以内の心破裂率が増大する傾向を認めた。これは再灌流モデルと大きく異なり心筋梗塞モデルでは4-PBAが病態を悪化させる可能性を有することを示唆する。そこでそのメカニズムを検討した。急性期の繊維染色の結果では、4-PBA群において、硬塞巣の線維化が減少する傾向があるものの、7日以降の亜急性期では心肺重量が増大する傾向を認め、うっ血性心不全像を呈する傾向にあった。心筋組織におけるReal time RT-PCRでは、急性期のMMP-9・CHOP・TNF-α・GRP78が減少する傾向を認めた。TUNEL染色でもアポトーシス細胞の減少傾向を認め、ケミカルシャペロンである4-PBAが心筋梗塞後急控期において抗アポトーシス・抗炎症作用に影響を及ぼしている可能性が示唆された。しかし、4-PBAの心筋梗塞後急性期の抗アポトーシス・抗炎症作用が予想に反して心破裂や心不全を惹起してしまい、そのメカニズムについて現在検討しているところである。
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Research Products
(2 results)