2008 Fiscal Year Annual Research Report
拡張期心不全患者における運動耐用能と運動時拡張能の検討
Project/Area Number |
20790524
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田辺 正樹 Mie University, 医学部・附属病院, 助教 (50456737)
|
Keywords | 拡張期心不全 / 運動耐容能 / 左室拡張能 / E / E' / 労作時呼吸困難 |
Research Abstract |
「拡張期心不全患者における運動耐用能と運動時拡張能の検討」を行うために必要な臥位エルゴメーターに関して、当初の科研費用での購入が困難であったため、H20年度の病院予算で購入した。H21年3月末に納入されるため、運動負荷を用いた心エコーの評価に関しては、導入後すぐに開始する予定である。本年度は左室拡張能研究の一環として心房細動患者における左室拡張能の検討、また拡張機能障害の疫学に関する検討を行った。 (1) 心房細動患者において、左室収縮能は前々RR間隔(RR2)と前RR間隔(RR1)との比RR1/RR2に依存していることが知られているが、拡張能は心拍のばらつきによる影響をあまり受けず、比較的一定であることを示した(Journal of Cardiac Failure. 2008 : 14 ; S163-Sl64)。 (2) 左室拡張能の低下と呼吸機能障害はともに運動耐容能低下の原因となるが、その合併頻度はあまり知られていないため疫学的な調査を行った。左室流入血流の拡張早期E波と僧帽弁弁輪部運動速度の拡張早期E'波の比E/E'を用い、E/E'>15の拡張能障害群とE/E'<15の2群に分け呼吸機能を比較した。E/E'>15群は高齢で女性比率が高値であり、E/E'<15群と比較し拘束性、閉塞性、混合性呼吸障害のいずれも高率に認めた。また男女とも、年齢の上昇とともに拡張障害、閉塞性換気障害の頻度の増加を認めたが、男性では年齢とともに閉塞性換気障害の頻度が著明に上昇したのに対し、女性では左室拡張障害をきたす割合が高率であった。 拡張期心不全患者における運動耐用能を検討するにおいて、本年度の検討はその背景を考える上で有益であった。
|