2009 Fiscal Year Annual Research Report
拡張期心不全患者における運動耐用能と運動時拡張能の検討
Project/Area Number |
20790524
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田辺 正樹 Mie University, 医学部・附属病院, 助教 (50456737)
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Keywords | 心エコー / 運動負荷 / スペックルトラッキング法 / 拡張期心不全 / 左室拡張能 |
Research Abstract |
心機能の評価は一般に安静時に行われるが、息切れや呼吸困難などの心不全症状は労作と関連しているため、運動時の血行動態を評価することが重要である。今回、臥位エルゴメーターを用いた運動負荷中に、スペックルトラッキング法を含む心エコー評価が可能か検討した。正常健常者10名(27±3歳)を対象とし、3分毎に25ワット増加する運動負荷中に心エコー検査を行い、運動時の収縮能、拡張能を評価した。左室駆出血流速波形の計測から1回拍出量、心係数を求めた。スペックルトラッキング法を用いて短軸像よりcircumferential global strain、心尖部像よりlongitudinal global strainを計測し収縮能の指標とした。また左室流入血流E波と僧房弁輪部運動速度E'波の比E/E'を計測し拡張能の指標とした。傍胸骨長軸像からは全例でデータを得られたが、心尖部スペックルトラッキング法は10名中8名で解析可能であった。安静時(心拍数67±14bpm)と運動負荷100ワット時(120±13bpm)のデータを比較した。心係数は2.9±0.8→5.8±1.1L/min/m^2と増加したが、1回拍出量は43±10→51±13L/m^2と有意な変化を認めなかった。スペックルトラッキングを用いた収縮能の指標に関して、longitudinal global strainは-20±9→-23±5%、circumferential global strainは-24±4→-25±4%と共に有意な増加を認めなかった。一方、拡張能の指標E/e'は中隔6.3±1.1→10±2.9cm/s、側壁8.6±1.4→11±3.1cm/sと有意に増加を認めた。多くの症例でスペックルトラッキングを用いて運動負荷中の心機能を評価することが可能であることが分かった。正常健常者の解析において、運動中もストレインを用いた収縮能はそれほど変化がないものの拡張能の指標E/e'は有意に増加することが分かった。今後、拡張期心不全患者へ応用し、健常者との相違を検討することで拡張期心不全の病態解明に役立つと推測される(第74回 日本循環器学会総会・学術集会で報告)。
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