2009 Fiscal Year Annual Research Report
病的心筋リモデリングにおける新規治療標的としてのTRPCチャンネルの意義の解明
Project/Area Number |
20790526
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 秀之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30467477)
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Keywords | イオンチャネル / 心不全 / 心筋リモデリング |
Research Abstract |
本年度本申請研究では、新規心不全治療薬としての可能性を探るべく、TRPC阻害薬の心肥大・心不全改善作用の検討およびその分子機序の解析と、そのデータを基にしたより効果的かつ選択的なTRPC阻害薬の開発のためのデータの収集を行なうことを目的とし、TRPC阻害薬の心肥大・心不全モデルマウスに対する作用の検討をおこなった。昨年度の高血圧性心肥大モデルであるGC-Aノックアウトマウスに加えて本年度は、アンジオテンシンIIの持続投与による心肥大マウス、および心不全・突然死モデルマウスであるdnNRSFTgマウスにたいしTRPC阻害薬BTP2を投与し、これら病態に対する効果を解析した。またTRPC阻害による下流の病的シグナル抑制効果の検討、およびその標的遺伝子のマイクロアレイによる網羅的解析を行った。さらにin vitroにおけるBTP2のエンドセリン1やアンジオテンシンIIによる心筋細胞肥大反応に対する抑制効果も確認した。これら心筋細胞における受容体活性化によるカルシウム流入は、TRPC6または3のノックダウンでほぼ両者の同時ノックダウンと同様のレベルまで低下したことから、心筋細胞ではTRPC3と6がヘテロコンプレックスを形成していることが予想された。そこで、さらにBTP2と比較してよりTRPC3に特異性の高いBTP3を入手し、BTP2と同様にアンジオテンシンIIの持続投与による心肥大マウスに投与したところ、BTP3はBTP2よりより低濃度で、高効率に肥大を抑制した・このことよりTRPC3あるいは6を標的としたより選択的な阻害薬開発が心不全予防・治療薬としては期待されることが明らかとなった。また我々は昨年度にANPのGC-Aを介したPKG活性化がTRPC6をリン酸化し、そのイオンチャネル活性を強力に抑制することを見出したが、その分子機序の詳細な検討を行い、ANPの抗心肥大作用の一部にTRPC6および3抑制が重要な働きをしていることを明らかとした。
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