2009 Fiscal Year Annual Research Report
心不全病態形成における蛋白質分解機構の関与の検討と治療への応用
Project/Area Number |
20790529
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
彦惣 俊吾 Osaka University, 保健センター, 助教 (30423164)
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Keywords | 心不全 / 蛋白分解 / カルパイン |
Research Abstract |
Calpainはカルシウム依存性の蛋白分解経路であるが、その心不全発症機序における役割は不明である。その役割を検討するため、calpainの安定性に必須であるcalpain4のfloxマウスとα-myosin heavy chain promoter依存性にcre recombinaseを発現するトランスゲニックマウスを交配して、心筋特異的calpain 4ノックアウトマウスを作製した。ノックアウトマウスの心筋において、calpain4だけでなく主なアイソフォームであるμ-およびm-calpainの発現が消失していることを確認した。10週齢のマウスでは、定常状態における心臓の構造、機能にノックアウトマウスとコントロールマウスの間で有意な差がないことを確認した。次にストレス応答におけるカルパインの役割を検討するため、このマウスを用いて横行大動脈縮窄による圧負荷心不全モデルを作成し、経時的な心臓超音波によりその表現型を検討したところ、ノックアウトマウスでは早期に心不全を発症することを見出した。その機序を検討するため、負荷後の心筋におけるアポトーシス性心筋細胞死の程度についてin situ TUNEL assayを用いて検討したところ、ノックアウトマウスでアポトーシスの増加が認められた。圧負荷後のユビキチン化タンパクの蓄積や小胞体ストレスの程度には有意な変化を認めなかった。また、細胞死の制御に関与する既知のcalpain標的分子には有意な変化を認めなかった。現時点では機序不明であるが、calpainは心筋において圧負荷に対し保護的に作用することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)