2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮―単球の相互作用の制御による新規の抗動脈硬化療法の検討
Project/Area Number |
20790530
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安田 知行 Kobe University, 医学研究科, 医学研究員 (20457047)
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Keywords | 血管内皮 / 血管新生 / 動脈硬化 / 循環器 / 接着分子 |
Research Abstract |
ESAM/apoEダブルノックアウトマウスを用いた動脈硬化病巣の解析 血管内皮特異的接着分子(Endothelial cell-selective adhesion molecule : ESAM)は免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着分子で血管内皮細胞に特異的に発現している。ESAMはhomophilicな結合を介して血管内皮細胞の接着及び血管新生に関与することは知られているが、動脈硬化における役割は不明である。我々は、動脈硬化モデルApoE KOマウスを用いて、動脈硬化発症におけるESAMの役割を検証した。ESAM/ApoE double knockout (DKO)マウスを作成し、動脈硬化病巣面積・病変における炎症細胞の割合・接着分子の発現を比較した。DKOマウスでは、対照群のApoE KOマウスと比べて、血漿コレステロール値が高値にも関わらず、動脈硬化病巣の進展が有意に抑制されていた。さらに、DKOマウスの動脈硬化病巣ではマクロファージ含有量が有意に減少していた。また、動脈硬化病変における既知の接着分子の発現は両群間で差を認めなかった。次に、ESAMの炎症細胞浸潤における役割を検証するため、炎症刺激後の腹腔マクロファージ浸潤量を測定した。さらに、培養血管内皮細胞にてESAMをsiRNAの手法を用いて発現抑制し、培養単球細胞の接着及び遊走を対照群であるESAM正常発現内皮細胞と比較した。ESAM KOマウスでは炎症刺激後の腹腔マクロファージ浸潤が減少し、ESAMを発現抑制した内皮細胞は単球細胞との接着・遊走が減少していた。これらの結果から、ESAMは血管内皮同士の接着のみならず、単球/マクロファージの接着・遊走を制御していることが明らかになった。我々はESAMの発現低下により炎症細胞の侵入、さらにESAM欠損により動脈硬化の進展が抑制されることを発見した。
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