2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化プラーク破綻におけるレニン・アンジオテンシン系の役割に関する研究
Project/Area Number |
20790532
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 純 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 講師 (40452693)
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Keywords | 動脈硬化 / プラーク破碇 / アンジオテンシン / マクロファージ / 酸化ストレス |
Research Abstract |
急性冠症候群の多くは動脈硬化プラークの破綻を引き金に発症すると考えられている。アンジオテンシンIIはレニン・アンジオテンシン系の主要な生理活性物質であり、動脈硬化の発症や進展に深く関与していることが知られているが、プラークの破綻におけるアンジオテンシンII1型(AT_<1a>)受容体の役割は不明である。本研究では、AT_<1a>受容体刺激がプラークの脆弱化に重要な役割を果たしているという仮説を立て検証した。Apolopoprotein E (ApoE) KOマウスおよびApoE/AT_<1a> double KOマウスの総頸動脈を結紮した後にポリエチレンカフを留置することで、プラーク破綻モデルを作成した。ApoE/AT_<1a> double KOマウスでは、ApoE KOマウスに比しプラーク破綻率が有意に低く(23.8% vs 72%, p<0.01)、脂肪沈着、O_2^-産生、プラーク内へのマクロファージ浸潤、酸化LDL受容体(lectin-like oxidized low-density lipoprotein receptor-1 : LOX-1)の発現低下を伴っていた。Real-time PCRで傷害血管における動脈硬化関連遺伝子の発現を検討したところ、ApoE/AT_<1a> double KOマウスではApoE KOマウスに比しLOX-1、単球/マクロファージコロニー刺激因子、炎症性サイトカインのmRNA発現が有意に減弱していた。また、in situ zymographyで傷害血管における細胞外基質分解酵素(matrix metalloproteinase : MMP)活性を測定した結果、ApoE/AT_<1a> double KOマウスではApoE KOマウスに比しMMP活性が有意に抑制されていることが判明した。更に、マウス腹腔マクロファージを採取・培養し、lipopolysaccharide刺激(1μg/ml、6時間)によるLOX-1、炎症性サイトカイン、MMP-2のmRNA発現をreal-time PCRで検討したところ、これらのmRNA発現もApoE KOマウスに比べApoE/AT_<1a> double KOマウスで減弱していた。以上の結果より、AT_<1a>受容体刺激は炎症、酸化ストレス、MMP活性化を介してプラークの脆弱化に重要な役割を果たしており、AT_<1a>受容体遮断によってプラーク破碇を抑制できる可能性が示唆された。
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