2008 Fiscal Year Annual Research Report
CSEノックアウトマウスを用いた高ホモシステインモデルにおける血管障害の解明
Project/Area Number |
20790551
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 美智子 Keio University, 医学部, 助教 (60445450)
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Keywords | 分子血管病態学 / 血管内皮障害 |
Research Abstract |
初年度の研究内容は、ラット大動脈にH_2SドナーであるNaHS、システインドナーであるNACを添加してH_2Sの血管拡張機序をメタボローム解析術を用いて検討した。また、CSEホモ欠損マウス(CSE^<-/->)、ヘテロ欠損マウス(CSE^<+/->)、ホモマウス(CSE^<+/+>)の血管拡張能を検討した。血管拡張能はラット大動脈リングをOrgan Chamberに装着して評価した。血管リングをフェニレラリンで収縮後、アセチルコリン、DETA-NONOate、NaHS、NACを段階的に投与して血管拡張能を観察した。メタボローム解析は、NaHS、NAC添加後、血管ホモジェネートを作成し、capillary electrophoresis-mass spectrometrvを用いて行った。メタボローム解析の結果、NaHS投与後の血管内AMP濃度はコントロールと比較して5倍に上昇し、Lactate、Adenosine濃度の上昇も認めた。また、NACについても各代謝産物で同様に上昇が見られた。マウスの血管拡張能は、CSE^<+/+>と比較してCSE^<-/->、CSE^<+/->ではアセチルコリン、NaHS、NACで血管拡張能が低下していたが、有意差は認められなかった。申請者は、NAC、NaHSによる血管内AMP濃度の上昇を介したIKatp活性化が関与している事を既に報告しているが、今回、メタボローム解析を行う事により、H_2Sによる血管拡張に低酸素性血管拡張メディエーターの関与が示唆された。血管のメタボローム解析は世界的にも皆無であり、ガスによる血管拡張機序とその障害を代謝から検討する興味深いものである。また、血管病におけるH_2Sの作用についての報告は稀であり、ノックアウトマウスを用いて血管拡張能を比較した事は、血管障害の発生機序に迫る研究であると考える。
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