2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞を用いた動脈硬化性血管病変の細胞療法
Project/Area Number |
20790554
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
礒 良崇 Showa University, 医学部, 助教 (60384244)
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Keywords | 血管病 / 間葉系幹細胞 / 血管再生 / 動脈硬化 / 血管リモデリング |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化による血管病変への骨髄間葉糸幹細胞(MSC)による細胞療法の有用性を検討することである。MSCは多分化能を持つが、今回の検討で、血管構成細胞である血管内皮・平滑筋細胞および線維芽細胞(外膜)に分化し得ることを明らかにした(2008年度循環器学会において発表)。このことは、MSCが血管に対し親和性があることを示唆すると考えられた。動脈硬化病変抑制のためには、内皮細胞の増殖・活性化が最も重要である。申請者は、これまでにMSCが血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、アドレノメジュリンなどの血管保護因子を産生することを報告した。今回、MSCの血管内皮増殖能を検討したところ、VEGFや骨髄単核球と比較し、有意に内皮細胞の増殖・管腔形成を促進させることが明らかとなった。MSCの内皮活性化作用を更に効果的にするため、培養MSCに数種の蛋白添加によるconditioningを行ったところ、エリスロポエチンでは血管新生関連因子および細胞保護因子の遺伝子発現が増加することが確認された。このことより、MSC投与前に培養液にエリスロポエチンを添加することは、MSCによる細胞療法の効果を増強させると考えられた。また、傷害内皮細胞由来因子がMSCのケモカイン発現を増加させることも確認しており、MSCによる傷害血管修復において新規の機序がある可能性が示唆された。また、動物モデルにおいて、臨床応用を考慮した細胞の送達方法を検討中である。2009年度は引き続き、MSCの内皮細胞との相互作用および傷害血管修復作用について検討を行っていく。
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