2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄間葉系幹細胞を用いた動脈硬化性血管病変の細胞療法
Project/Area Number |
20790554
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
礒 良崇 Showa University, 医学部, 助教 (60384244)
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Keywords | 血管病 / 骨髄間葉系幹細胞 / 動脈硬化 / 血管リモデリング / 血管再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化による血管病変への骨髄間葉系幹細胞(MSC)による細胞療法の有用性を検討することである。動脈硬化病変抑制のためには、内皮細胞の増殖・活性化が非常に重要である。本研究において、培養MSCが血管構成細胞である血管内皮・平滑筋細胞および線維芽細胞(外膜)に分化し得ることを明らかにし、in vitroでの血管新生試験においてはその細胞分化と血管新生因子分泌を介して、骨髄単核球と比較し著明に血管新生・内皮再生を促進することを明らかにした。また、内皮前駆細胞と同様に、MSCはヒトにおいて急性心筋梗塞後に末梢血中に動員され内因性の血管再生にも関与している可能性を示した。これらより、MSCの血管再生に対する有用性が示唆された。動脈硬化モデルであるげっ歯類血管傷害モデルにおいて、MSC(GFP標識)投与による治療効果を検討したところ、血管周囲への局所投与により新生内膜形成が有意に抑制された。コントロール群に比べ、MSC治療群では低分化型の薪生内膜平滑筋細胞は少ない傾向であった。また内皮再生の促進が機序の一つであると考えられた。しかし、GFP抗体を用いた免疫組織学的検討では、MSCの内皮細胞や血管平滑筋細胞への分化は確認されず、MSCは投与3日後に一時的に外膜側に存在していた。MSC自体もしくは外膜細胞との相互作用による液性因子の放出が新生内膜形成抑制・内皮再生促進に関与していると考えられた。
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