2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管におけるジアシルグリセロールキナーゼのTRPチャネル分子制御機構の解明
Project/Area Number |
20790559
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
中野 知之 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (00333948)
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Keywords | ジアシルグリセロールキナーゼ / 血管平滑筋細胞 / ストレスファイバー / 免疫細胞化学 / セロトニン |
Research Abstract |
本研究の目的は、血管におけるジアシルグルセロールキナーゼ(DGK)によるtransient receptor potential(TRP)チャネルの調節機構を解明することである。平成20年度は血管壁構成細胞のうち、血管平滑筋細胞に着目した研究を行った。まずラット胎児大動脈由来のA7r5細胞およびラット大動脈から単離した血管平滑筋細胞におけるDGKアイソザイムのmRNA発現をRT-PCR法により解析した。その結果、強いDGKαおよびζの発現と比較的弱いε型の発現が検出された。これらアイソザイムの細胞内局在を特異抗体を用いて免疫細胞化学的に解析したところ、DGKαは核内および細胞質にびまん性に、ζは核内に顆粒状に免疫陽性反応が検出された。一方DGKεは細胞長軸に沿った線維状の免疫陽性反応として検出され、ファロイジンとの二重染色の結果、アクチンストレスファイバーに局在することが明らかとなった。血管平滑筋細胞を血管収縮性アゴニストであるセロトニンにより刺激するとDGKεのmRNAおよびタンパク発現が亢進することが明らかとなった。この時、DGKεの細胞内局在はストレスファイバー状から細胞質へと変化し、びまん性の免疫陽性反応が検出された。既報では遺伝子導入実験や生化学的な細胞分画実験によってDGKεが小胞体に局在することが示されているが、今回の免疫細胞化学的研究の結果、正常の血管平滑筋細胞においてDGKεはストレスファイバーに局在し、その安定化に寄与する可能性が示唆された。本研究は血管平滑筋細胞におけるDGKアイソザイムの詳細な発現解析を行った最初の報告であり、血管平滑筋におけるTRPチャネルの制御機構を解明する上で重要なデータである。
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