2008 Fiscal Year Annual Research Report
CCL1遺伝子改変マウス作成による呼吸器感染症の病態研究
Project/Area Number |
20790563
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
井上 純人 Yamagata University, 医学部, 助教 (70466621)
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Keywords | CCL1 / COPD / 呼吸器感染症 |
Research Abstract |
細菌感染症においては、病原菌自体のvirulenceと共にこれを受けとめる宿主側のバックグラウンドを把握することが重要である。気道感染を契機とした肺炎において、宿主側の要因として細菌に対する宿主側の細胞表面レセプターの発現や、炎症局所に遊走する免疫細胞の動態の重要性が指摘されている。これまでの我々の研究によって、実験的肺気腫マウスにおける呼吸器細菌感染症モデルでは、気腫化肺形成後の肺局所における免疫反応に修飾が起こり、細菌感染後に重篤な予後を引き起こすことが示された。また臨床的知見では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の疫学的調査で、炎症性ケモカインの一つであるChemokine(C-C motif)ligand 1(CCL1)の遺伝子多型(NCBI : rs2282691)が易感染性や予後に大きな影響を及ぼしていることを発見した。すなわちCCL1はCOPD患者の予後に深く関与し、特に感染症における病態形成に大きな役割を演じていることが想定される。我々はCCL1遺伝子改変マウスを作成し、その機能を深く検討することを計画している。 具体的には肺特異的にCCL1を強発現する遺伝子改変マウスを作製する。平成20年にはこの遺伝子改変マウスを完成させ、細菌性気道感染を誘発することにより、肺局所での免疫反応を検討する。更に平成21年には遺伝子改変マウスと対照マウスに対して、6ヶ月間の喫煙負荷をかけ、肺気腫を発症させた上で、細菌性気道感染を誘発し、肺局所で起こる免疫反応を比較検討する。これによって、実験的COPDにおける呼吸器細菌感染症による肺局所での免疫反応が解明されることと想定される。
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