2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺癌の発生・進展プロセスに関わる新たなリネジ特異的生存シグナル制御機構の解明
Project/Area Number |
20790566
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 知也 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 助教 (70452191)
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Keywords | 肺癌 / リネジ特異的マスター調節因子 / リネジ特異的生存シグナル / 癌化シグナル / 発癌 / 進展 |
Research Abstract |
末梢肺の分化に関与するTTF-1 (Thyroid transcription factor-1)遺伝子は、リネジ特異的マスター調節因子として細胞分化に寄与する一方で、その発現持続が肺腺癌の生存に必須であり発癌と進展に大きく関与する。このリネジ特異的マスター調節因子TTF-1が制御する分子メカニズムを解明することが、本研究の目的である。そこで、我々はTTF-1特異的な発癌プロセスを明らかにするために、TTF-1遺伝子を導入した正常末梢気道上皮細胞株のマイクロアレイ解析を行い、TTF-1により調節される遺伝子群(以下、Downstream of TTF-1 (DOT)と称す)を同定した。昨年度のDOT遺伝子群の研究は、特にDOT-1遺伝子を中心に生化学的・分子生物学的な解析を行い、肺腺癌におけるTTF-1による直接的なDO1~1遺伝子の転写活性化機構の存在を明らかにした。本年度は、DOT-1分子の下流シグナルについて細胞生物学的手法を用いて詳細な解析を行い、肺腺癌において非常に重要な生存シグナル経路に関与していることを見出した。また、我々が同定したDOT-1分子は、肺腺癌細胞株を用いて発現抑制を行うと、増殖抑制効果が見られることから、肺腺癌における必須分子であることが明らかとなった。さらに、in vivoにおけるこの癌化シグナルの果たす役割を明らかにするために、マウスを用いた実験・解析を行い、肺腺癌におけるDOT-1分子の重要性を示すことができた。以上の研究結果から、DOT-1分子は肺腺癌を標的としたより安全で特異性の高い癌治療法のターゲットになる可能性を見出した。
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