2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790567
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
渡部 仁成 Tottori University, 医学部附属病院, 講師 (80397851)
|
Keywords | 喘息 / 黄砂 / PEFモニタリング / COPD / 電話調査 |
Research Abstract |
本邦における黄砂の健康への影響を明らかにするために,黄砂飛散時の喘息患者における症状変化について調査を行った.2008年に鳥取県では3月3日にのみ黄砂が飛散した.この際,105例の喘息患者および対照として25例のCOPD患者に電話による症状変化の聞き取り調査を行った.この結果,喘息患者では16例(15.2%)で,COPD患者では2例(7,1%)で呼吸器症状の増悪を認めた.増悪した症状は咳,痰がほとんどであったが,3例では喘鳴と呼吸困難があり小発作を認めた.増悪した呼吸器症状により救急受診が必要であった者はなく,発作を起こした3例も自宅治療で改善した.PEFモニタリング解析のために黄砂飛散目と黄砂飛散終了後6日間を"黄砂飛散期間",黄砂飛散前の7日間を"黄砂非飛散期間"と定義し解析を行った。黄砂飛散時に呼吸器症状が増悪した喘息患者のMin%Maxでは,"黄砂飛散期間"は"黄砂非飛散期間"に比較して有意に低下していた.しかし,mean morning PEF/personal best value比は"黄砂飛散期間"と"黄砂非飛散期間"に有意な差は認めなかった.mean morning PEF/personal best value比に有意差がなかった原因として(1) PEFは低下するものの,その低下が軽妙であること,(2) PEF低下が極短期間であることが挙げられた,一方,MIn%Maxにおいては黄砂飛散期間に1日でも低値があれば差が生じやすくPEFの低下を反映しやすいためと推察された。対照としたCOPD患者でも2例で呼吸器症状の増悪があったものの,いずれもが喘息を合併していた.以上の結果は2007年調査とほぼ同様であり,黄砂飛散により喘息患者の10%~20%で呼吸器症状が増悪する可能性があるものの症状増悪の程度は軽妙であった.さらにCOPD患者が黄砂飛散時に症状増悪を自覚する頻度は喘息患者に比較して少ないと考えられた.
|