2008 Fiscal Year Annual Research Report
LKB1遺伝子異常に基づく肺がん個別化治療の基礎的検討
Project/Area Number |
20790568
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松本 慎吾 Tottori University, 医学部・附属病院, 助教 (10392341)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / LKB1 / 抗癌剤感受性 / mTOR阻害剤 |
Research Abstract |
LKB1遺伝手異常は、散発性悪性腫瘍のうち肺がんでのみ高率に起こり、かつ肺がんの形成や進展に重要な役割を担うと考えられる。本研究では、このLKB1遺伝子異常に基づいた肺がん個別化治療の開発を目的に、その可能性をin vitro、in vivoで検討することとした。今年度はまず、肺がん細胞株を用いてLKB1遺伝子異常と、各種抗癌剤(mTOR阻害剤、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド系抗がん剤、タキサン系抗がん剤)の感受性との関連を検討した。LKB1遺伝子異常のある細胞ではmTOR阻害剤の感受性が高く、ビンカアルカロイド系抗がん剤、タキサン系抗がん剤の感受性が低いという結果を得た。次に、各細胞で細胞内シグナル伝達系におけるAKT, mTOR, p70S6Kの活性化を検討したところ、LKB1遺伝子異常を有する細胞ではLKB1の発現が消失しており、またmTORが恒常的に活性化されていた。このことがmTOR阻害剤感受性に関与していることが示唆された。現在、LKB1をノックダウンした細胞株で各抗癌剤の感受性変化や蛋白発現変化を検討中である。今後、ビンカアルカロイド系抗がん剤、タキサン系抗がん剤の感受性の違いに影響を及ぼす因子についても検討し、さらには動物実験で確認する予定である。これらの研究で成果が得られれば、LKB1遺伝子異常をバイオマーカーとした肺がん個別化治療を確立することで、新たな肺がん治療戦略の一助になると期待される。
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