2009 Fiscal Year Annual Research Report
LKB1遺伝子異常に基づく肺がん個別化治療の基礎的検討
Project/Area Number |
20790568
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松本 慎吾 Tottori University, 医学部附属病院, 助教 (10392341)
|
Keywords | 肺癌 / LKB1 / 抗癌剤感受性 / mTOR阻害剤 / PTEN |
Research Abstract |
肺癌薬物治療にEGFRを標的とした治療が導入され、今後も様々な分子を標的とした治療の開発が期待される。我々のこれまでの研究によりLKB1遺伝子異常は、肺がんで高率に起こり、かつ肺がんの形成や進展に重要な役割を担うと考えられる。本研究では、まずLKB1遺伝子異常に基づいた肺がん個別化治療の可能性を検討することとした。昨年度は、LKB1遺伝子異常のある細胞ではmTOR阻害剤の感受性が高いのに対し、ビンカアルカロイド系抗がん剤、タキサン系抗がん剤の感受性が低く、またLKB1遺伝子異常を有する細胞ではLKB1の発現が消失しており、mTORが恒常的に活性化されていることを見いだした。今年度は、LKB1をノックダウンした細胞株で各抗癌剤の感受性変化や蛋白発現変化を検討しつつ、また同じくmTORの活性化に影響を及ぼしうる癌抑制遺伝子PTENの異常を有する細胞株を用いてLKB1同様の同様の検討をした。LKB1同様にPTEN遺伝子異常のある細胞株ではPTEN発現の消失によりmTORが恒常的に活性化されており、mTOR阻害剤の感受性が高いことが証明された。現在、この結果は論文を作成し海外雑誌に投稿中である。肺癌治療におけるmTOR阻害剤の、より有効な臨床応用のためにはこれらの癌抑制遺伝子の異常と薬効との関係を追求する必要があると考えられ、現在さらに検討中である。
|