2008 Fiscal Year Annual Research Report
ガレクチン9の骨髄由来免疫抑制マクロファージに対する分化誘導機序
Project/Area Number |
20790570
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
有川 智博 Kagawa University, 医学部, 助教 (70452670)
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Keywords | Galectin-9 / Hypersensitivity Pneumonitis / Myeloid-derived suppressor cell / Macronhage |
Research Abstract |
過敏性肺臓炎(Hypersensitivity Pneumonitis, HP)はI型アレルギーとは異なる機序、すなわち、III型とIV型アレルギーによって起きる疾患と考えられている。その理由としてTh1型CD4細胞が主体となり病態の増悪が進む炎症であることが挙げられる。採択初年度の研究により、我々はマウス実験的HPモデル (Experimental HP, EHP) においてGal-9が当疾患による炎症を抑制すること、さらにその作用は主にCD11b^+Gr-1^+骨髄由来抑制性細胞(Myeloid-derived suppressor cell, MDSC)を介した機序であることを明らかにした。近年, MDSCはLy-6G陽性の顆粒球系とLy-6C陽性の単球系とに分類されることが示唆されていることからGal-9で誘導された肺局所のCD11b^+Gr-1^+細胞を詳細に解析したところ、Ly-6C陽性(単球系)細胞であることが判明した。in vitroにおいてEHPモデルで使用した抗原(T. asahii)とGal-9を組み合わせて骨髄幹細胞(c-kit陽性細胞)を刺激した結果、双方の共存下でのみ強くCD11b^+Ly-6C^<hi>細胞が誘導された(Ly-6G陽性細胞は誘導されない。)表現型としてMDSCである可能性が示唆された当細胞について、続く細胞単離実験で詳細な機能解析を行ったところ、T細胞増殖抑制活性を有しており、機能的にもMDSCであることが明らかとなった。以上の結果から、CD4ヘルパーT細胞(Th1, Th17)の抑制や制御性T細胞誘導のみならず、MDSCを介した抑制をGal-9が制御しうることは免疫学的にも重要な発見である。単年度の目標であったGal-9誘導MDSCによる炎症抑制機序の解明が達成され、かつin vitro分化系を構築できたことも本年度の成果である。一連の報告は現在論文投稿中であり、継続年度(2009年度)においても予定通り、Gal-9のナチュラルリガンドとして知られるTim-3の関与も含め、詳細なメカニズムを解析予定である。
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Research Products
(2 results)