2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺上皮特異的Pten欠損マウスを用いた肺線維症病態解析と新規分子標的治療の検討
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20790573
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
柳 重久 University of Miyazaki, 医学部, 助教 (60404422)
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Keywords | 肺線維症 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
特発性肺線維症は慢性進行性の肺線維化疾患で、予後不良であり、その発症機序は不明である。PTENは脂質ホスファターゼで、PI3K/Akt経路を負に制御する癌抑制遺伝子である。これまでに、肺線維症発症における肺上皮細胞のPTENの役割を生体で報告したものはない。今回、細気管支肺胞上皮特異的Pten欠損マウスを用いてブレオマイシン(BLM)肺線維症モデルを作製した。方法として、野生型及びKOマウスにBLM 0.6〜2mg/kgを気管内投与し、投与2週後のKaplan-Meier生存曲線、肺組織像、肺コラーゲン含有量を評価した。肺組織α-SMA免疫染色を用いて筋線維芽細胞数を評価した。肺組織pSmad2免疫染色を用いてTGF-βシグナル伝達を評価した。細気管支肺胞上皮特異的Pten欠損マウスは野生型と比較して生存率が低く、著しい肺線維化がみられた。投与1週間後における肺組織像の検討の結果、KO群において著明な肺水腫を認めた。気管支肺胞洗浄液中蛋白定量、肺wet/dry重量比の結果から、Pten欠損マウスではBLM肺傷害後の肺血管透過性が著明に亢進していることがわかった。肺線維化について、KO群では肺コラーゲン含有量とα-SMA陽性細胞数が増加していた。KO群でpSmad2免疫染色における陽性細胞率が高く、TGF-βシグナル活性が有意に上昇していた。以上より、細気管支肺胞上皮でのPten発現は、肺線維症発症抑制に重要であることが示唆された。今後は、Pten/Akt経路とTGF-β経路との連関因子の解明とそれを標的とした経気道的投与による新規分子標的治療を行う予定である。
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