2008 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的代謝解析を用いた白血球によるCOPD発症機構の解明
Project/Area Number |
20790575
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高宮 里奈 Keio University, 医学部, 助教 (70365419)
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Keywords | coPD / タバコ / 白血球 / 赤血球 / 代謝解析 |
Research Abstract |
今年度は、ヒト白血球(好中球)や赤血球を用いタバコ抽出液やタバコ煙成分の一つであるアクロレイン(ACR)により赤血球、白血球内代謝が影響をうけるか、また、マウス白血球細胞株(RAW264.7細胞)を用いた白血球機能解析を中心に進めて行った。 (ACR-ヒト赤血球)ACRで曝露された赤血球は、代謝バランスが、ペントースリン酸回路系に傾いていた。eosin-5-maleimide(EMA)を用いを行なったところ、ACR添加後の赤血球ではEMAとの応性が亢進していた。また、ACRを曝露した赤血球では通常の赤血球に比べ、メト化の亢進も認められた。以上の結果より、Band 3の変化に伴った赤血球細胞膜の異常や細胞内代謝異常によるレドックスバランスの崩壊が起こっていると考えられ、その結果としてヘモグロビンのメト化の亢進がおきている可能性がある示唆された。(ACR-ヒト好中球)ACRを添加したヒト白血球では、赤血球と同様にペントースリン酸回路の亢進が認められ、一方で解糖系の代謝流速に低下が認められた。これは、先に報告した赤血球にACRを添加した際とほぼ同じ結果であった。(ACR、タバコ抽出液-RAW264.7細胞)ACRを添加したRAW264.7細胞は、アクチンを含めた細胞骨格異常やE-coliの貧食能の低下が認められ、同様の事がタバコ抽出液をRAW264.7細胞に添加した検討でも認められた。COPDの増悪には、感症が問題視されているため、マクロファージの貧食能の低下は病態と関連していると考えた 以上の結果より、ACRやタバコ抽出液は、白血球や赤血球の代謝流速を変え、また、細胞骨格に異常を与え、細胞機能の低下に関係している可能性が示唆された。
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