2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインおよび酸化ストレス制御によるCOPD治療法に関する研究
Project/Area Number |
20790579
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
木下 隆 Kurume University, 医学部, 助教 (90454917)
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Keywords | COPD / 炎症 / マウスモデル / 酸化ストレス |
Research Abstract |
我々はこれまでにCOPD患者の肺の炎症は禁煙によっても完全には改善しないことを明らかにした。また、その炎症部位のCD8陽性T細胞には炎症性サイトカインIL-18の発現が増強しており、COPDの炎症が持続する機序にIL-18が関与している可能性が強く考えられた。ヒト・サーファクタント・プロモーター(SPC)を使った恒常的発現肺特異的発現IL-18トランスジェニック(SPC-IL-18TG)マウスを樹立した。このTGマウスは肺にCD8陽性T細胞を伴う肺気腫が誘導された。加えてこのTGマウスをIL-18で誘導されると考えられるTh2型サイトカインIL-13遺伝子を欠損させると肺気腫だけでなく肺への炎症細胞浸潤が抑制された。これらの研究結果はCOPD患者の肺病変部ではタバコ煙による持続する過剰な酸化ストレスがマクロファージやCD8陽性T細胞からのIL-18、IL-13を含む炎症性サイトカインの産生が増加させ、肺病変部に大量の炎症細胞のリクルートメントを誘導し慢性の強い炎症が持続する。その結果、肺胞機構が破綻されCOPDが発症することが示唆された。この作業仮説に基づき抗酸化剤であるレドックス蛋白チオレドキシン(TRX1)が豚膵エラスターゼの気管投与によるCOPDマウスモデルの肺気腫を抑制するかどうかを検討するため肺特異的にTRX1を強発現するTGマウスを樹立した。TRX1TGマウス及びリコンビナントTRX1投与はエラスターゼの気管投与による肺気腫を抑制し、さらに、一旦肺気腫が発症した後にTRX1を投与すると、その後の気腫性病変の進行が抑制されTRX1を含む抗酸化剤が治療薬として有望であると考えられた。
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