2008 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌細胞の線維化への関与とEGFシグナルによるTGF-βシグナル調節機構の解析
Project/Area Number |
20790580
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
鯉沼 代造 Japanese Foundation For Cancer Research, 生化学部, 研究員 (80375071)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・文化 / 発現制御 |
Research Abstract |
1 肺癌細胞におけるEGFシグナル異常がTGF-βシグナルに及ぼす影響とそめ機序まず複数の癌細胞株でWestern blotting によりSmad2,3 リンカー領域のリン酸化、Smad2/3 リンカー領域結合蛋白Pinl の発現を検討した。その結果細胞間での比較はそのgenetic background が大きく異なりEGF のTGF-β シグナルへの影響を比較することが困難と考えられた。そのためまず変異型RASによる影響を実験系の確立している293T細胞で検討した。そしてリンカーリン酸化Smad2, 3が変異型RASの発現によりPin1 との結合が促進され、E3ユビキチンリガーゼSmurf2 とSmad2, 3の結合の促進と分解によりTGF-βシグナルを抑制することを発見した。 2 線維芽細胞におけるEGFシグナルがTGF-βシグナルの作用に及ぼす影響とその機序EGFの下流でPin1 がTGF-β シグナルに及ぼす影響をPin1 ノックアウトマウス由来の線維芽細胞を用いて検討した。その結果Pin1のない線維芽細胞ではSmad2/3 の蛋白発現量が多いこと、E3 リガーゼSmurf2 との結合が弱いことが明らかとなった。 そしてPin1発現のない線維芽細胞ではTGF-β刺激によってConnective tissue growth factor の発現が上昇するものの、Pin1 をアデノウイルスベクターにより発現させた線維芽細胞ではそれが認められなくなることを発見した。 3 肺癌細胞と線維芽細胞の相互作用とTGF-βシグナル、EGF シグナルの影響癌細胞・線維芽細胞双方ともにPin1 がEGF の下流やRASシグナル亢進によりSmad2/3 の分解を促進してTGF-βシグナルを抑制することが示唆された。いかに線維芽細胞と癌細胞でEGF , TGF-βシグナルに差があるのか、相互作用の面の解析は次年度での検討課題とした。
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Research Products
(1 results)