2008 Fiscal Year Annual Research Report
喘息の難治性評価におけるメモリーT細胞の糖鎖性ホーミング分子測定の意義
Project/Area Number |
20790583
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐久間 圭一朗 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子病態学部, 主任研究員 (90402891)
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Keywords | 喘息 / ヘルパーメモリーT細胞 / 糖鎖 / ホーミング / 硫酸基転移酵素 / 転写 |
Research Abstract |
1.気管支喘息患者の末梢血ヘルパーメモリーT細胞に発現する糖鎖性ホーミング分子の量をフローサイトメーターで測定し、健常者と比較した。平成20年度終了時点で12症例の解析を終了した。喘息患者では、肺にホーミングするヘルパーメモリーT細胞や、リンパ節と肺の間を往復するセントラルヘルパーメモリーT細胞における硫酸化糖鎖およびその誘導体糖鎖の発現が、健常者よりも有意に増加していることを見出した。この結果は、ヘルパーメモリーT細胞の糖鎖性ホーミング分子の発現異常が喘息の病態や重症度と密接に関連している可能性を示唆している。今後さらに詳細な機序を解明することで、糖鎖性分子を標的とした喘息の新規治療法の開発や難治性評価法の開発が期待でき、非常に意義が大きい。 2.上記の糖鎖性ホーミング分子(硫酸化糖鎖)の合成に不可欠である硫酸基転移酵素の遺伝子発現機構を研究した。ヘルパーT細胞に主に発現する2つの遺伝子について解析を行った。GlcNAc6ST-1は主にTヘルパー2細胞に発現し、GATA-3とNF-κBによって相乗的に転写が促進されることを見出した。HEC-G1cNAc6STはTヘルパー1細胞およびTヘルパー2細胞にほぼ同等に発現し、T-bet、GATA-3、Sp1によって転写が促進されることを見出した。この結果をさらに発展することで、喘息患者において糖鎖性ホーミング分子の発現に異常が生じる機序を解明できる可能性がある。
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