2009 Fiscal Year Annual Research Report
喘息の難治性評価におけるメモリーT細胞の糖鎖性ホーミング分子測定の意義
Project/Area Number |
20790583
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐久間 圭一朗 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子病態学部, 主任研究員 (90402891)
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Keywords | 喘息 / ヘルパーメモリーT細胞 / 糖鎖 / ホーミング / 硫酸基転移酵素 / 転写 |
Research Abstract |
1. 平成20年度に引き続き喘息患者の末梢血検体を収集し、ヘルパーメモリーT細胞の糖鎖性ホーミング分子の発現量をフローサイトメーターで解析した。肺にホーミングするサブセットおよびリンパ節と肺の間を往復するサブセットの両方において、患者では健常者よりも同分子およびその関連誘導体分子の発現が亢進していることを明らかにした。また、アトピー性皮膚炎は気管支喘息と同じリンパ球サブセットが病態形成に関与することから、アトピー性皮膚炎患者の末梢血検体も同様に解析したところ、気管支喘息の結果と同じ傾向が得られた。また、臨床的重症度と相関する傾向を認めた。現在、さらに症例を集積中である。以上の結果から、これらの疾患患者の末梢血ヘルパーメモリーT細胞の糖鎖性ホーミング分子測定が、難治性の評価に有用である可能性が示された。 2. ヘルパーメモリーT細胞の糖鎖性ホーミィグ分子は硫酸基が付加された糖鎖(硫酸化糖鎖)であり、この糖鎖を合成するためには硫酸基転移酵素が不可欠である。平成21年度は、硫酸基転移酵素群に属する酵素の一つであるHEC-GlcNAc6STの転写調節機構を研究した。レポーターアッセイやクロマチン免疫沈降法などの結果から、HEC-GlcNAc6STはT-bet、GATA-3、Sp1などの転写因子群によって転写調節されることを見出した。この結果をさらに発展し、気管支喘息やアトピー性皮膚炎における硫酸化糖鎖の発現亢進機序を解明することが今後の重要な課題である。
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