2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎近位尿細管上皮細胞におけるエンドサイトーシス仲介型ステロイドホルモン作用の解明
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20790589
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 博慶 Niigata University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任助教 (30413610)
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Keywords | 近位尿細管 / メガリン / エンドサイトーシス / 物質再吸収 / ホルモン作用 / アンジオテンシンII / インスリン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
腎近位尿細管上皮細胞におけるアルドステロンなどのステロイドホルモン作用とレニンーアンジオテンシンーアルドステロン(RAA)系は密接に関連する重要な経路である。そこでRAA系の主要な構成因子であるアンジオテンシンII(Ang II)の近位尿細管上皮細胞に対する作用について検討した。 Ang II受容体AT1ARを安定導入した近位尿細管上皮細胞株に高グルコース状態でAng IIを作用させると、エンドサイトーシス受容体メガリンの蛋白レベルならびにmRNAレベルでの発現が低下して、アルブミンの細胞への取り込み・分解が抑制された。このメガリンの発現・機能の低下はこれまでの研究によりERK1/2リン酸化経路の活性化を介していることが知られており、この活性化に対してERK1/2リン酸化経路の阻害薬ならびにインスリンーPI3K経路が拮抗的に働き、Ang IIにより低下したメガリンの発現を部分的に回復させた。また、低グルコースと比較して高グルコース、低グルコース+インスリン条件でメガリン発現量は多かったが、高グルコース+インスリンではさらなる相加的なメガリン発現上昇はみられなかった。さらに、各種シグナル伝達経路阻害剤を用いてAng IIによるメガリン発現低下のメカニズムを追求したところ、TGF-β受容体Iキナーゼ(ALK5)阻害薬がAng IIによるメガリン発現低下を蛋白質あるいはmRNAレベルで部分的に回復させた。従って、Ang IIによる近位尿細管上皮細胞におけるメガリン発現低下にはERK1/2経路活性化の他に、新たにTGF-β受容体を介した経路の活性化が関わっていることが示された。
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