2008 Fiscal Year Annual Research Report
vitaminDの糸球体上皮細胞への直接作用を介した腎保護作用の検討
Project/Area Number |
20790593
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松井 功 Osaka University, 医学部・附属病院, 医員 (60456986)
|
Keywords | 糸球体上皮細胞 / vitamin D / vitamin D receptor |
Research Abstract |
我々は系球体上皮細胞障害モデルであるラットpuromycin aminonucleoside腎症(PAN腎症)を作成し、calcitriolおよびそのanalogueである22-oxacalcitriolに糸球体上皮細胞保護効果があることを明らかにし、論文を発表した。本研究により、従来証明されてきたvitamin Dのメサンギウム細胞増殖抑制や尿細管間質線維化抑制を介した腎保護効果に加え、vitamin Dが糸球体上皮細胞に対して直接的な保護効果を持つことが明らかになった。糸球体上皮細胞およびその細胞間接着機構であるスリット膜の障害は、慢性腎臓病進行の重大なリスクファクターである尿蛋白の原因となるため、vitamin Dが糸球体上皮細胞を直接的に保護する作用を有することが証明できた意義は大きい。また本モデルにいて、尿蛋白の出現に先行して腎のCYP27B1が減少、CYP24発現が上昇することにより、腎におけるvitamin Dの活性化が障害されることを明らかにした。ヒトの慢性腎臓病においても、腎でのvitamin D活性化は障害されており、我々の実験結果は、腎におけるvitamin Dの活性化障害が、さらに腎障害を増悪させるという悪循環を形成していることを支持するものである。また我々の研究はvitamin Dの投与がこの悪循環を断ち切る作用を有することを示したものである。 糸球体上皮細胞特異的vitamin D receptor (VDR)欠損マウスも作成した。上記ラットPAN腎症の結果から、糸球体上皮細胞VDR欠損マウスは腎障害が進行しやすい状態であると考えられ、来年度以降5/6腎臓摘出モデルなどを作成し、VDRの有無による腎障害進行の差異を検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)