2008 Fiscal Year Annual Research Report
全一酸化窒素合成酵素ノックアウトマウスにおける腎間質線維化機序の解明
Project/Area Number |
20790605
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森貞 直哉 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 非常勤医師 (00389446)
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Keywords | NOS(一酸化窒素合成酵素) / UUO(片側尿管結紮) / EMT(上皮間葉形質転換) / Angiotensin II |
Research Abstract |
NOS完全欠損(triple NOSノックアウト)マウスを使用して、腎間質線維化発症モデルである片側尿管結紮(UUO)モデルを作製し、その病理学的変化を見た。野生型およびsingle NOS欠損マウスと対比して間質線維化、腎尿細管上皮細胞アポトーシス、糸球体硬化が有意に増加していた。これらの機序としてマクロファージ浸潤細胞数、trans growth factor-β(TGF-β)発現の増加がtriple NOSノックアウトマウスに見られた。またα-smooth muscle actinも増加していたことから、上皮間葉形質転換(EMT)がこの機序に関与していることを明らかにした。これらの変化はtriple NOSノックアウトマウスへのNO供与薬の投与により野生型と同程度に回復立することを示した。 またtriple NOSノックアウトマウスの閉塞腎ではアンギオテンシン変換酵素(ACE)が増加していたためレニン-アンギオテンシン系(RAS)の関与が示唆された。triple NOSノックアウトマウスに対しアンギオテンシンII1型受容体(AT1)拮抗薬(ARB)の投与を行ったところ、上記の病理学的変化は野生型と同程度に回復していた。ARBと同等の降圧作用を示した降圧薬hydralazineの投与ではARBほどの回復は見られなかった。したがって、triple NOSノックアウトマウスにおいてAT1を介する経路が腎障害の進展に関与していることが考えられた。これらの結果は腎疾患進展におけるNOSの重要性を明らかにし、またRAS抑制が治療回復につながることを示しており腎疾患の増悪抑制において重要な知見と考えた。
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