2009 Fiscal Year Annual Research Report
全一酸化窒素合成酵素ノックアウトマウスにおける腎間質線維化機序の解明
Project/Area Number |
20790605
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森貞 直哉 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 非常勤医師 (00389446)
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Keywords | NOS(一酸化窒素合成酵素) / UUO(片側尿管結紮) / EMT(上皮間葉形質転換) / Angiotensin II |
Research Abstract |
3系統NOSの完全欠損(triple NOSノックアウト)マウスを使用して片側尿管結紮(UUO)モデルを作製し、腎障害形成機序におけるNOSの関与について検討した。野生型およびsingle NOS欠損マウスと対比して、triple NOSノックアウトマウスでは間質線維化、腎尿細管上皮細胞アポトーシス、糸球体硬化が有意に増加していた。またマクロファージ浸潤細胞数が増加し、transforming growth factor-β(TGF-β)発現もtriple NOSノックアウトマウスで増加していた。これらの変化はtriple NOSノックアウトマウスへのNO供与薬の投与により野生型と同程度に回復することを示した。 またtriple NOSノックアウトマウスの閉塞腎ではアンギオテンシン変換酵素(ACE)が増加していたため、病態形成にレニン-アンギオテンシン系(RAS)が関与していることが示唆された。triple NOSノックアウトマウスに対しアンギオテンシンII1型受容体(AT1)拮抗薬(ARB)の投与を行ったところ、上記の病理学的変化は野生型と同程度に回復してい。ARBと同等の降圧作用を示した降圧薬hydralazineの投与ではARBほどの回復は見られなかった。したがって、triple NOSノックアウトマウスにおいてはAT1を介するRASが腎障害の進展に関与していることが考えられた。さらに、酸化ストレスマーカーである尿中イソプロスタンがトリプルNOSノックアウトマウスで野生型に比し有意に高値であること、さらに尿管結紮後に増加することを示し、病態形成に酸化ストレスが関与していることが示唆された。 これらの結果は腎疾患進展におけるNOSの腎保護作用を明らかにし、またRAS抑制が治療回復につながるごとを示しており、慢性腎疾患(CKD)の進展抑制に重要な知見であると考えた。
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